先輩の姿

患者さま一人ひとりに応じた看護を目指して。

看護師(入職1年目)
看護学生の頃から精神科看護に興味をもっていました。そのときの実習先が慈圭病院で、コミュニケーションは精神疾患の回復へつながるひとつの治療であることを学びました。
私が勤務しているのは精神科救急病棟です。精神症状が強い患者さまが入院されていますが、精神症状だけでなく身体症状も同時に観察し、全身のケアを行っています。対応に困ってしまうこともありますが、日々患者さまと粘り強く向き合っていくうちに、症状が改善し、笑顔になっていく様子が感じられることも多いです。ある時、服薬を拒否される患者さまを担当することになりました。最初は全く聞き入れてもらえませんでしたが、日々の関りやコミュニケーションを積み重ねていき、薬を飲んでいただくことができたときには、看護師としてのやりがいを感じました。患者さまが入院される度に新しい学びがあります。根気と忍耐力が必要ですが、難しさと同時にやりがいもある仕事だと思います。



私の看護観、そしてセルフケア向上へ。

看護師(入職2年目)
私は現在、身体合併症病棟で勤務しています。ここには精神疾患とともに身体的な処置を多く必要とする患者さまが入院されています。
ストーマのセルフケア不足の患者さまに対して、ご自身でもできるように前向きな声掛けなどを複数の看護師で行ったことがありました。すべてに介入するのではなく、ご自身の力の維持と向上を後押しするように接するうちに「自分でやってみる」といった発言が聞かれ、今ではほとんどご自身でケアができるようになりました。できないことは看護師が援助をしていますが、ご本人も説明を熱心に聞かれ、そのセルフケア向上の姿勢に嬉しさを感じました。
学生時代、看護師は身体的な病気に携わる専門職であると考えていましたが、精神看護学を学んでいく中で、身体面と精神面の不調は比例するようにお互いが影響し合っていることに気付きました。患者さまの心に寄り添い精神面から支えることは重要です。そして次第に「精神面から支えじっくり一人ひとりの患者さまと関わり看護すること」が私の看護観になっていきました。
精神看護学実習で慈圭病院を訪れたとき、職員が一人ひとりの患者さまと向き合い関わっている姿に自身の看護観と重なるものがありました。話し方、振る舞い一つで看護の質は大きく変わります。日々試行錯誤しながら患者さまとの関わりを見直しています。



その日その日で、いいところを。

看護師(中堅看護師)
以前から精神看護に関心があり、それぞれの患者さまの強みをみつけて、一人ひとりに寄り添った看護をしたいと考えていました。
看護学生のとき、実習先の慈圭病院でお世話になったことがきっかけで、ここで働いてみたいと思うようになりました。
私が働いているのは24時間体制で入院を受け入れる精神科救急病棟です。初めて入院される患者さまもいらっしゃるので少しでも安心した治療を受けることができるよう環境を整えています。また、他の病棟にも増して精神面と身体面の両方に目を配る必要があります。それに加えてご家族の暮らしなども含めて多方面から俯瞰的な視点で患者さまの全体像を見るように心がけています。
入院当初、精神症状が活発で周りに対して敏感になっていた患者さまが、治療と看護でしだいに症状が改善していく過程をみられたときには精神科看護師としてのやりがいを感じます。
「話を聴いてくれたから不安がなくなった」「あなたがいてくれてよかった」と患者さまから声をかけていただいたりお礼の手紙をもらったりした時は本当に嬉しかったです。患者さまの状態はその日その日で変わりますが、その中でも「良いところを、必ず1個は見つけよう」と自分に言い聞かせ、患者さまが良い退院を迎えられるよう、日々看護に向き合っています。



患者さんの思いに寄り添う看護を。

主任看護師
精神看護学実習の時、受け持った患者さまとうまくコミュニケーションがとれず悩んでいました。病棟スタッフと私の違いはどこにあるのだろう、この患者さまに効果的な関わりとはどのようなものなのだろうと考え、その難しさや奥深さを感じ、精神科看護師を目指しました。
慈圭病院に就職しようと思ったのは、病院理念である「わが子でも安心して任すことのできる精神科病院」に感銘を受けたからです。
働いている急性期開放病棟には感情障害や統合失調症、アルコール使用障害、発達障害や認知症などの患者さまが入院されています。年齢層も幅広く、精神症状だけでなく身体的なケアも必要です。その中で、入院生活を安心して過ごしていただけるように信頼関係を築き、そして退院に至るまでの回復過程に寄り添い、自立に向けた個別的なケアを多職種で取り組んでいます。また、主任として業務の振り分けや病棟運営なども行っています。ある患者さまが単身生活を目指すことになったときにはスタッフ間で会議を繰り返し、一緒に住居を探し、退院後の生活での不安を軽減するために訪問看護のサポート体制を調整していきました。患者さまもはじめは不安だった退院後の生活に対し、少しずつ前向きになることができ、退院することができました。患者さまの思いに寄り添った看護、そのやり取りが今でも印象に残っています。