精神医学研究所

公益財団法人慈圭会の事業として精神医学研究所は重要な役割を担っている。慈圭病院開院に遅れること5年、昭和33年4月、慈圭精神医学研究所は設立された。病院運営のみならず、精神疾患の解明に夢を託した当時の理事諸氏の願いは、精神医学研究所で活躍した研究者や職員に引き継がれ今日に至っている。これまでに脳の生化学と神経病理学を二つの柱として、精神病理、社会環境に関する研究など多方面のプロジェクトが進められてきた。

化学部門

化学研究の中心は、昭和34年から岡山大学の奥村教授の指導で始められたネコ脳環流による脳代謝研究であった。脳環流の研究は、大月(岡大名誉教授、前研究所顧問)を中心として発展し、アミノ酸、糖代謝、核酸系物質、GABA関連物質などの脳機能への影響を研究し、昭和44年まで続けられた。多数の研究者がこのプロジェクトに関わり、18名の博士が誕生したことからも当時の研究活動の勢いが伺える。近年では、いくつかの臨床薬理学や遺伝学的研究プロジェクトが岡山大学との共同研究で進められている。平成11年に新築された研究棟には、冷蔵庫室や免疫組織研究室が完備された。ここでは統合失調症、感情障害の病態生理、治療薬の作用部位を解明する目的で免疫組織化学の手法を用いて脳代謝研究が行われている。

神経病理部門

研究所の初期からの研究テーマの一つは精神疾患の神経病理研究であった。設立当時山口大学の助教授として赴任していた難波(岐阜大名誉教授)を中心とした細胞構築学、ミオクローヌスてんかんの神経病理、三井(前副院長)の神経ベーチェット病の解剖報告などの貴重な症例報告がなされている。病理研究の伝統は色褪せることなく続いており、これまでに保存された症例は660例以上に及ぶ。中四国では報告のみられなかったエコノモ脳炎、うつ病と診断されていた代謝疾患のファブリ病、幻覚妄想を呈し統合失調症と診断されていた家族性リポフスチン脳症といった貴重な例が近年にも報告された。これらは生前に診断が付かず、剖検によって初めて診断が可能であった症例である。また、これまでに剖検された症例について、要請のあった研究者には保存されている未染色標本を提供することにしており、日本中の研究者から依頼がある。広く我が国の神経研究に貢献しており、諸外国にみられるようなブレインバンクとも言える貴重な存在となっている。近年では、新たに注目が集まっているピック病やアルツハイマー病などの痴呆疾患症例が学会活動に寄与している。新研究棟の建設に伴い、神経病理研究室、剖検室などが新たに整備され、二代目になる最新の電子顕微鏡も整備され充実した病理研究が進められている。

(文・石津秀樹:研究部長)
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